涅槃経如来性品第四
○毒鼓の縁
「譬えば人有りて、雑毒薬を以って用いて太鼓に塗り、大衆の中に於いて、之を撃ちて声を発(いだ)さしむるが如し。聞かんと欲するに心無しと雖も、之を聞けば皆死す。唯一人不横死の者を除く。是の大乗典大涅槃経も、亦復是の如し。在在処処の諸行の衆中、声を聞く者有れば、有らゆる貪欲(どんよく)・嗔恚(しんに)・愚癡、悉く皆滅尽す。其の中、思念に無心なる有りと雖も、是の大涅槃因縁力の故に、能く煩悩を滅して、而して結自ら滅す。犯四重禁及び五無間も、是の経を聞き已れば、亦無上菩提の因縁を作り、漸く煩悩を断ず。不横死の一闡提の輩を除く」
仏法聴聞の大事 『大智度論』
「水中に生熟せる蓮華も、日光を得ずんば開かざるが如し」(大正蔵25-63 取意)
如来の事を行ずること 天台大師 『法華文句』
今日の行人は能く大悲有って、此の経の中の真如の理を以て衆生の為に説いて利益を得せしむ。亦如来の事を行ずと名づくるなり (文句会本中 富士学林版 635㌻)
病気の原因と克服方法 天台大師 『法華玄義』
「今我が疾苦は皆過去に由る、今生に福を修すれば、報は将来に在り」(玄義会本下 富士学林版 22㌻)
誓願を持ってこそ、修行は持続できる 天台大師『摩訶止観』
「誓願無きは、牛の御無くして所趣を知らざるが如し。願来って行を持し、将て所在に至る」(誓願のない修行は、牛飼いのいない牛が行き先を知らずにさまようようなものである。誓願の力によって修行が持続され、目標へと導かれるのである)(止観会本下 富士学林版 195㌻)